サムスン、第9世代V-NANDにモリブデンを採用

サムスンは、モリブデンを第9世代V-NANDのメタライゼーション・プロセスに統合することを選択した、とTheElecが報じている。同社はラム・リサーチ社から5台のモリブデン蒸着装置を調達しており、来年にはこの数を20台に増やす計画だ。フッ化タングステン(WF6)とは異なり、このプロセスで使用されるMo前駆体は固体であり、気体に変換するためには摂氏600度まで加熱する必要がある。酸化物-窒化物-酸化物構造におけるタングステンからモリブデンへのこの戦略的切り替えは、トランジスタの抵抗率を高め、サムスンのNAND生産においてより多くの層を積層することを可能にする。

NAND材料サプライチェーンへの影響

サムスンがモリブデンを採用することは、NAND材料のサプライチェーンに大きな変化をもたらす。同社はモリブデンをエンテグリスやエア・リキードなどのサプライヤーから調達しており、メルクもサンプルを提供している。このシフトはWF6の市場に影響を与えると予想され、Moの価格はWF6より約10倍高い。その結果、SKトリケム、ハンソルケミカル、オーシャンブリッジなどの国内半導体材料企業は、業界の需要を満たすためにモリブデン資源を開発している。

NAND 以外への用途拡大

モリブデン・プレカーサーは、NANDの生産にとどまらず、DRAMやロジック・チップの進歩にも重要な役割を果たすと予想されている。このような拡大は、モリブデンが多様性に富み、様々な半導体技術において重要性を増していることを裏付けている。Samsung、SK Hynix、Micron、Kioxia がモリブデンの採用を模索しているように、半導体業界は高性能メモリとロジックデバイスの領域でさらなる革新と効率向上を目指す態勢を整えている。

著者からのコメント

モリブデン(Mo)は多面的な金属で、いつも驚かされる。私たちはタッチスクリーンの耐食性を高めるためにモリブデンを使用しています。モリブデンは、高融点、高熱に対する比類のない強さ、優れた電気伝導性、顕著な耐食性など、その卓越した特性でよりよく知られています。鉄鋼の強化から化学反応の触媒、さらにはサムスンの最先端V-NAND製造のように半導体技術の未来を形作ることまで、モリブデンの多用途性はとどまるところを知らない。

Christian Kühn

Christian Kühn

更新日時: 08. 7月 2024
読書時間: 3 分